明日は明日の風が吹く

無味無臭・人の記憶に残らないをモットーに人間関係の荒波をいきていく30も半ばを過ぎた私の鬱日記

理系夫の頭の中

自分が明らかな文系でなおかつ実質的に文系学部に通っていたせいもあろうか、昔から私は理系男子に並々ならぬ憧れがあった。

 

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自分とは異質のものに神秘性を感じていたのかもしれない。

白衣!研究眼鏡!というイメージに恋をしていたのかもしれない。

あ、すいません、眼鏡は余分でした。

LOVE眼鏡男子。白衣に眼鏡って良くないですか?

(↑これまんま、漫画版犀川先生だね!!!LOVE犀川先生!!!)

 

すべてがFになる (講談社ノベルス)

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残念ながら白衣姿は見たことはないけれど

私が結婚した人は理系男子で元・研究職でした。

 

 

私が夫と結婚してもう12年にもなる。

そう、私が憧れた理系の人。

 

理系の夫は私が普段使っている数か所のスーパーの距離から

往復でかかるガソリン代を各スーパーごとに算出して

食品の割引率と兼ね合わせて最終的な食材の合計額も考慮に入れ

結果的にどこが一番割安かを教えてくれる。

安いと評判のあそこのスーパーは

トータル的に考えると実はそれほど割安ではないから

こちらにしたらどうかと提案される。

 

………………。

(阿呆か)(この人ちょっと何言ってるんだろう)

あ、心の声が盛大に漏れた。

 

 

いや、学業はとても優秀で頭はいいのよ。はい。

もう、真剣にすすめてくるからね。善意で。うん。ありがとうね。

 

 

私は確かに数か所のスーパーを使い分けているが、主に

・魚が美味しいスーパー

・お肉が美味しいスーパー

・野菜が美味しいスーパー

・変わった調味料の取り扱いがあるスーパー

これらの観点からその日に行くスーパーを変えている。

お菓子を作る時は製菓専門店まで足を延ばしたりもする。

 

夫は私が料理にかけるこだわりは何一つ知らないし私も語らない。夫は私が料理を作る過程には一切の興味がない。もっというと私のこともよく知らないのだと思う。

 

そう、夫は私のことを知らない。(ハッキリ言うと私に興味がない)

だから数値でもってはかれるものでしか判断できない。

 

私は食材によってスーパーを使い分けていることを説明したけれど

その使い分けによって出来上がった料理の質がどれぐらい向上しているかを

残念ながら私は数値で表すことはできない。

 

食材による使い分けを説明した後で

あちこち使い分けて行く食材の買い物も

私にとっては楽しみのひとつだ。と言ってみた。

 

一番数値化できない”楽しい”という言葉に夫が反応したのは私にとって新鮮な驚きだった。そうか、楽しいのか。買い物が楽しいんだ(←多分夫にはない感覚)良かった。じゃあ、何処にでも行っておいでよ。

 

理系の夫の頭の中は数字で構築されているのだと思っていた。

夫が一番信用して優先するのは数値化されたものだと思っていた。

 

私の感情が入る余地があったとは。

私も夫の事を知らないんだな。と思った。

 

  ※理系と言うだけで夫となる人と犀川先生を重ねてみていたことは否定しない※

有限と微小のパン (講談社ノベルス)

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夫と遊びに行った先の遊園地。休憩に入ったカフェテリアで

遊園地の規模から総建築費を仮定して

今日の入場者数と入場料を掛け合わせ

何年でペイできるのか。

飲食店は何店舗か。バイトの数は何人と仮定するのか。

電気代等の維持費はどれぐらいか。

パレードで踊っている人は何人いるのか。

 

放っておくと様々な必要経費を仮定し始めて

どこも見ていない目でブツブツと暗算を始める。

 

そんな時の夫の頭の中はきっと数字が飛び交っているのに違いない。

それはどんな速さ?目にも止まらないの?わからない。私にはわからない。

理系夫の頭の中は私にはわからない。

 

遊園地のカフェテリアの雑踏の中で

数字の世界に囚われてしまった夫を私は待っている。

なんて可愛らしい人なんだろうと思いながら

私は私のもとに夫が戻ってくるのを待っているのだ。