「切なさをください!!」切なさ欠乏中の私をもどかしさで満たしてくれる作品群
日々生きていく中で私は「切ない」という気持ちだけはもう体験することはないのだろうなと思う。特に恋愛感情でのソレ。誰かを思って切なくなるということ。
これからも笑ったり泣いたり怒ったり喜んだりするであろう未来に「切ない」は一切存在しないのだと思うとそれすらが切なくなったりもするのだけど、もっぱら小説・映画・漫画で「切ない」を補充している毎日です。
というわけで私がこれは切ない!!!と思った作品群。
親から子へと連鎖する貧困を描き、貧困から生まれるクラスカーストも残酷なまでに描いている。これほどまでに重いテーマをのせた物語が軽くテンポよく進むのは秀逸なキャラクター造形&台詞のセンスの良さのたまもの。
ラストはこれ以外にありえなかったハッピーエンドで終わるのだけど
本当にハッピーエンドなのか。それすらもわからない。ただただ切ない。
言わずと知れた細田版「時かけ」
いつラベンダーのかほりが出てくるのかラベンダー待ちで終わりそうな勢いで見ていたのだけどこれは筒井版「時をかける少女」ではなかったのね。しかし登場人物に筒井版への関連性も持たせているあたりがニクイ。
そしてどうしたってタイプリープモノは切ない。最後のタイプリープで主人公が時を駆けてくる理由に泣けた。
映画としても非常に出来の良いこの作品。伏線がしっかりと回収されつくしているあたりにも感銘を受ける。
そしてどうしたってタイプリープものは切ない(今回2度目のこのフレーズ)
構造は時をかける少女と同じで(バタフライエフェクトの方が公開は先)
タイプリーム能力を持つ主人公が未来を変えるために過去へと戻っていく。
そして主人公の行動が蝶の羽ばたきとなってさざ波を起こし思いも寄らぬ未来へと変化を起こす。主人公はただ幼馴染の幸せを願っただけなのに。主人公が選んだ未来がとても切ないタイムリープもの映画の傑作。
恋愛感情で切ないかと聞かれれば、そうであるような、そうでないような。
官能美(オビより)とか耽美とか兄弟愛とか。そんな感じ。好きな人は好き。私は好き。決してBLではないストイックな愛に色っぽさを感じつつ、読んだらやはり切なかった。オチはどうなのって思いつつ。切なさで有耶無耶になる感じ。
恋愛関係ごった煮のトキワ壮。本当に好きな人がいるのに他の人と付き合ったり、ちゃんと肉体関係もあったり、それでも忘れられなかった。とか遠回りして遠回りして戻ってくるこの厚顔無恥な感じも嫌いじゃない。辻村深月の初期作品は登場人物が大いに揺れているのがイイ。その未熟なさまも愛しく切ない。スロウハイツの神様上下巻。
失踪ホリディ収録「幸せは子猫のかたち」
もはやこれは出オチの切なさ。登場人物が「人づきあいが苦手で孤独な学生」と「幽霊」って切なくない訳がない。いつか来る別れの予感に彩られながらの二人の交流が暖かく切ない。そもそも切なさの伝道師乙一(ホワイト乙一の方)作品が切なくないわけがない。愛しさと切なさとミステリまで詰め込まれた短編。
まとまって映像作品を見る時間がなかなか取れないので小説が多いんだよなあ。
そして相手の幸せのために自分の何かを犠牲にする物語も好きなのだと思った。
もうこれから私が恋愛をすることは一生ないのだと思う。既婚者だし。
あの脳が狂ったようなどうしようもなさと不安定さの中に身をおくことはない。
それが幸せということなのかもしれない。
というわけでみなさまオススメの切ない作品あったらぜひ教えてくださいませ!!!