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明日は明日の風が吹く

無味無臭・人の記憶に残らないをモットーに人間関係の荒波をいきていく30も半ばを過ぎた私の鬱日記

寺地はるなさん「ビオレタ」を読んで

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私がとても好きなブロガーさんであるところの寺地はるなさんが

ポプラ社の賞を受賞されたと聞いた時に

ああ、やっぱり。と、思ったようにおぼえている。

 

賞を受賞されて、小説家として世に出るということはとても稀有で凄いことだと思うし、普段からのブログの一読者いちファンとしては、湧き上がる喜びを抑えることもできずに、また、おさえることもせず、あまつさえ、勝手に、私の!はるなさんが!小説家!!とファンにありがちな”私の”呼ばわりまで心の中でしていたことを、軽くカミングアウトしながらも(ゴメンナサイ)

 それでも私は、ああやはりな。と思ってしまったのだ。

 

何故なら、寺地はるなさんは、油断がならないからだ。

 

柔らかい文体に、センスの光る言葉遊びを入れて、読者を笑わせるサービスまで施しつつはるなさんは物語を綴っていく。本作「ビオレタ」は主人公の妙が婚約者に振られ雨の中で打ちひしがれて号泣しているド修羅場から始まるにもかかわらず、恨みつらみというどす黒い感情を、あえてストレートな言葉で表現しないままに、物語はふわりとして美しく心地よい文章で進んでいく。劇的なシチュエーションを大げさに語るわけではなく、昼ドラにでもできそうな人物相関図ですら細やかな人物描写によって呑み込ませていく。読者は惹きつけられ引き込まれ深く深く気が付いたらもう後戻りができない所まで潜ってしまっている。そう、まるで千歳さんの海の底にいるかのように。心地よくいざなわれつつも、気が付いたら物語の深みにまで引きずり込まれるからはるなさんの物語は油断がならないのだ。これはもう圧倒的な文章力と物語のセンスなのだと思う。

 

さて、ここで少しばかり蛇足なのですが私のごくごく個人的な近況もちょろっと。

 

数か月前にスポーツの最中に膝を痛めてしまってから

膝が曲がらなくなり、一時期はまともに歩けなくなり

日常生活にも支障をきたしておりました(笑)

 

はるなさんの「ビオレタ」を手に取ったのはまさにそんな時でした。

ちゃんと読めるのか。感じられるのか。とても不安でした。

可愛らしい装幀で、初めて聞いた時から「素敵」と思っていたタイトル「ビオレタ」は紫色の菫色で刷られていて、シンプルで力強い。

ページをめくるとすぐに夢中になって心がほどけていきました。

 

求められることも受け入れられることも怖がらないで進むこと。

相手を損なわないように消耗しないように求めること。

同じ場所には決して留まれないのだから、行く先は自分で決めること。

 

そうか。

と思いました。

 

そうか、きっと私も歩いていける。

文字通り、ただただ歩けるようになるためだけにリハビリに通い

深刻にならないためにあえて客観的に自分を眺めてみたりして筋トレもこなして

 

 

歩けるどころかちゃんと走れるようになった人体の不思議。

歩けるって走れるってすてき。 

 

 

最後に、はるなさんの書く男の人が私の好みのドツボを押してきます。

千歳さんすきだーーーー!